新着ニュース (詳細)

造園 大阪 >> 新着ニュース(一覧)

【知恵の森】うつくしきかな甲子園『にっぽん玉砕道-「子供が主役」で甲子園に10回も行けるかっ!』野々村直通 (著) 勝谷誠彦 (著)

2012-07-15 07:25


灼熱の太陽の下、一つのボールに夢中になる高校球児たち。
誰もがその姿に感動を覚え、心をひかれる日本の夏の風物詩だ。

本書は、その神聖な高校野球での発言で物議をかもした島根県、開星高校の名物監督、野々村直道氏と気鋭のコラムニスト勝谷雅彦氏との対談集。

この対談の発端は2010年、春の選抜高校野球で21世紀枠の高校に負け『負けたことは切腹もの』『末代までの恥』と発言し、風貌も相まってあらゆるメディアから『ヤクザ監督』とバッシングを受け監督辞任まで追い込まれたことから始める。

だが、この発言はそこまで高校野球を冒涜し、個人を追い詰めることなのであろうか?
本書の中でも野々村氏の風貌が多数紹介されているが、一目すると『ヤクザ』『右翼』風の風貌だが、その高校野球にかける情熱は、高校生にも劣らず熱い。またその考え方は日本社会の閉塞感を打ち破るヒントが満載だ。

特に『オンリーワンではなくナンバーワンになれ』との言葉に心惹かれる。価値の多様性、個人の個性を強調し、誇張した当時、『ナンバーワンではなくオンリーワン』をもてはやしたが、結局は耳触りだけのいい言葉で『オンリーワン』はその他諸々に成り下がった。野々村氏の考えでまずは『ナンバーワン』そして一番になったものが『オンリーワン』になれるという非常にシンプル。

問題発言当時、世間から『ヤクザ監督』とののしられた野々村氏だが、監督辞任の際には、続投要請の署名が島根県の小さな町にもかかわらず8000人集まった。ここまで、人の心を動かす熱血教師、野々村氏の『玉砕道』のエッセンスが本書にはちりばめられている。

また、監督室、手作りの練習場の写真も公開されているが、そこは生ぬるい空気は皆無。一部の人には批判はあるかもしれないが、戦前、戦中の世界観がうかがえる。苦しかった日本を鼓舞し、活路を見出そうとしたその精神、考え方が、今の閉塞感を打ち破る一つの方法かもしれない。

この二人の対談は、誰もが考えるが口に出せないことを本音で語り合ってくれる痛快もの。地獄を見た者だけが、栄光をつかめ、喚起する。きれいごとだけで終わらせない、野々村氏自身が身を挺した叫び。私も植物や自然の囲まれ一見すると、きれいな世界だと世間からは見えるかもしれないが、多々きれいごとだけではすまされないことがある。そんな時、野々村氏の言葉が心に突き刺さる。

ぜひ、本書を見かけたら表紙にビビらず、勇気を出して買ってみてください(笑)