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【知恵の森】千年の森をつくろう!『鎮守の森』宮脇昭(著)

2012-08-09 07:23


初詣、七五三、夏祭り。
自分は無宗教と言いながら人工環境に中に暮らし無関心を装いながらも現代人は鎮守の森を訪れる。そこには現代人の表層を超えた何かがあるのではないか!?生き物の本性、日本人としての深層心理が関与しているのかもしれない。それは日本人としての感性、生命観が畏敬の念として深く内蔵していることを見逃すわけにはいかない。

本書は、世界規模の森林破壊や地球温暖化が加速する現在、きびしい自然環境に耐え、かつ大災害にも負けない森を再生することを緊急の課題として人々が守り、育てる「鎮守の森」の可能性を通して千年の森をつくる為の道を指し示す。現在の里山ブームの基礎を築いた一冊。

日本の国土は60%が森林に覆われているが、今やスギやヒノキなどの生態系を無視した森林ばかり。かくして森はジャングル化し、スギ花粉症のような2次災害まで引き起こす。それに対し、昔からある鎮守の森の生態系はみごとだ。土地にあって自生できる木が高木から低木、草木まで複雑で合理的なシステムを作り、伐採や管理をしなくても豊かでみごとな林を形づくり、しかも人々を地震や火災から守っている。現在のチープな里山風や生物多様性を勘違いした樹木の混植ではなく、生態学的に基づいた森づくりを実践する。

災害と不景気に見舞われ疲弊する日本を再生する為にも今一度、生活に根付いた森と文化の構築を考えさせてくれる一冊です。ぜひ読んでみてください。