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【知恵の森】『瓦礫を活かす「森の防波堤」が命を守る: 植樹による復興・防災の緊急提言』宮脇 昭(著)

2012-09-26 12:50

しっくりこない一冊。
今日の一冊は、過去にも取り上げた宮脇昭氏です。

内容は、震災によって出た大量の瓦礫。その利用可能なものと、毒と分解可能なものとを分別した、それ以外の土に混ざった木質瓦礫、レンガ、コンクリートの破片などはすべてをエコロジカルにもともと有効な地球資源として活用する。その上に土をかぶせ樹木の苗木を植える『瓦礫を利用した防潮林堤=森の防波堤プロジェクト』を語ります。

著者は、横浜国立大学名誉教授で、世界各地で植樹を推進する現場主義の植物生態学者として、これまで国内外1700カ所以上で植樹指導し、4000万本以上の木を植えている。『植物と人間』『木を植えよ!』など著書多数の経歴の持ち主。当然、被災地が瓦礫処理で困っている中、それを有効利用し処理していく立派な計画です。

しかし、しっくりこない。

本書でも瓦礫を埋めることに環境省からの抵抗が多く、安全性を伝えるためかなりの労力を尽くしています。

過去にも災害の瓦礫を埋めた事例はあり、その一つ横浜の山下公園は有名。当時、関東大震災の復興事業として市内の瓦礫などを大正14年から4年がかりで埋立て、上部を良質な土で覆土して造成が行われ、公園の基本的な形ができあがりました。当時とは環境整備の事情が変わり事実、誰も言わないが産業廃棄物処分法が各自治体の手足を縛っているので安易に埋めるのは難しい。

ただ、これがまかり通るなら、もっと東北の方が助かる瓦礫処理、また各自体にお願いしないでも瓦礫を処理する方法があったのではないかと感じた。
本書の内容とは外れてしまうが、著者、行政が自身の手法に固執せず、素直に物事を考えれば、東北の復興は早まったのではないか?
都市計画を含め、震災後の対応を悔やんでしまう。